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【連載第2回】わたしと向き合うための産婦人科のはなし「月経不順と生理のアレコレ」編

家事、仕事、子育てと、多忙な日々を送る女性。あなたは、ご自身のカラダのことをどのくらい理解していますか?体の調子が悪かったり、心のバランスがとれなかったり・・・それでも頑張らないといけない毎日の隙間に、自分を見つめ直す時間を作って欲しいーそんな思いで立ち上げた連載の第2回目。

今回も、株式会社Inazmaの代表であり、ゼロマチクリニック天神を運営する古賀俊介先生にお話をしていただきます。第2回目のテーマは「月経(生理)」について。女性にとって身近でありながら憂鬱な存在でもある月経(生理)。月経不順や生理痛で悩んだ時、どうしたらいいの?をお伝えします。

連載第1回の記事はこちらから
【連載第1回】わたしと向き合うための産婦人科のはなし「産科・婦人科ってなんだろう?」編

▲ゼロマチクリニック 古賀俊介先生

Profile●古賀俊介さん/1989年福岡県出身、筑波大学医学群医学類卒業。産婦人科医であり、エンジニアとしてシステム開発にも携わる。2019年に医療機関向けソフトウェア開発を手掛ける株式会社Inazmaを設立。2021年にゼロマチクリニック天神(天神2丁目ソラリアステージビルM2F)を開業。
Twitter https://twitter.com/_kogax_

「いつもと違うかも?」が重要!自分しか気づけない体の変化

―そもそも、月経(生理)とは何でしょうか?

古賀俊介先生(以下、古賀):

端的にお伝えすると、月経とは“妊娠のために存在する、周期的な妊娠の準備”です。女性の体は約1 ヶ月に一度のサイクルで排卵を行い、子宮内膜を厚くして妊娠の準備をします。妊娠しなかった場合にいらなくなった子宮内膜がはがれ体外に排出されるのが月経(生理)です。

一般的に、月経周期(月経開始日から次の月経の前日まで)が25〜38日、出血持続日数が3〜7日で、かつ変動は6日以内が正常な月経と言われています。月経周期日数が25日未満であったり39日以上であったりすると、月経不順が疑われます。

ただ、このサイクルは人によって異なるもの。月経周期がいつも25日未満、もしくはいつも40日前後かかるという方が、すべて月経不順なのかというと、そうではありません。

―自分の月経のサイクルを把握しておくことが大事なんですね。

古賀:

月経周期とともに、経血量や出血持続日数も普段と違う点がないかを意識しておきましょう。一般的に、女性の初潮から閉経までの期間は約40年と言われているのですが、現代では食生活などの要因によって、月経開始が早まっている傾向にあります。

さらに、昔と比べると、女性が一生涯で妊娠する回数も減少傾向にありますよね。妊娠・出産・授乳中は月経が止まることを考えると、現代では女性の体に月経が起きる回数は多くなっているということ。その分、月経に関する不安やトラブルも顕在化していると言えるでしょう。

クリニックでできることもたくさん。悩みがあればまず相談を

ーよくある月経不順の原因を教えてください。また、日常で気をつけておいたほうがいいことはありますか?

古賀:

月経不順の原因はさまざまで一概には言えないのですが、気をつけていただきたいのはストレスや極端な体重の増減。特に、激しいダイエットによってエネルギー不足に陥り、ホルモンの分泌がなくなって月経が止まる・・・というのはよくあるケースです。
月経不順に潜む病気も見逃せません。若い女性を中心に多いのが「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」で、放置しておくと不妊の原因となったり、糖尿病などの生活習慣病のリスクが上がったりすると言われています。また、前回から3ヶ月たっても月経がない場合は「無月経」といって、異常が疑われます。こちらも放置すると不妊、骨粗鬆症のリスクが上がるので、早めに受診してくださいね。

日常で気をつけていただきたいのは鉄分の摂取。月経による出血のため鉄を失って、鉄欠乏性貧血を引き起こし、寝起きが悪くなったり、疲れやすいなどの症状を訴える方は少なくありません。特に月経量が多いと感じる方は鉄分を意識して摂取してみてください。

―月経に関する相談で、婦人科を受診する目安を教えてください。また、クリニックではどんな診療を行うのでしょうか?

古賀:

月経のサイクルが定期的に早かったり、遅くなっているなと感じたら受診をおすすめします。その際、産婦人科医は直近の月経周期についてお伺いするので、日頃からアプリなどで月経の記録をつけておくと便利ですよ。診察では、子宮や卵巣の様子をみるための経腟超音波検査や、ホルモン異常や他の病気の可能性も視野に入れて血液検査を行うこともあります。

月経前症候群(PMS)や、生理痛でお困りの方も、我慢せずにまずは相談を。漢方薬や低用量ピルなど、患者さんに合った治療を提案します。

―月経は女性にとって身近なものですが、一人として同じではないので悩みも様々ですね。

古賀:

そうですね。妊娠を希望していないという方は、月経を止めてしまうというのも一つの手段です。月経が起こるということは、体に負担がかかっているということ。ホルモン剤など様々な手段を使えば、排卵回数を抑えることができ、そうすることで卵巣がんのリスクを下げるとも言われています。

月経に関する悩みは、医療的な介入によって改善されるケースも多いのです。女性のQOL(クオリティ オブ ライフ=生活の質・満足度)が上がれば幸いです。

▲ソラリアステージのM2F。全10坪というコンパクトな設計

さいごに

揺らぎやすい女性の体において、ひとつのリズムを教えてくれる月経という存在。大事なのは「いつもと違うかも?」という小さな気づきです。月経に関するお悩みや、月経前の体調不良や気持ちの落ち込みがある・・など、思い当たる方は婦人科の受診をおすすめします。

月経を止めることや、大切な予定のために月経を移動することも可能な時代。月経とうまく付き合いながら、女性の人生を楽しむことができたら最高ですね!


machi
2歳差の兄弟と子煩悩なパパと楽しく生活中。食べると泊まるが大好きで、甘いものも嗜みます。

ライター紹介

からふるMoms

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KaRaFuRuのママライターチームです。

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