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【連載第1回】わたしと向き合うための産婦人科のはなし「産科・婦人科ってなんだろう?」編

家事、仕事、子育てと、多忙な日々を送る女性。あなたは、ご自身のカラダのことをどのくらい理解していますか?体の調子が悪かったり、心のバランスがとれなかったり・・・それでも頑張らないといけない毎日の隙間に、自分を見つめ直す時間を作って欲しいーそんな思いから、この連載はスタートしました。

株式会社Inazmaの代表であり、ゼロマチクリニック天神を運営する古賀俊介先生に、女性の体についてお話をしていただきます。第1回目となる今回は、古賀先生が産婦人科医を目指したきっかけや、運営しているクリニックのこと、そして「産科・婦人科とはなんだろう?」という、この連載の根幹について伺いました。

▲ゼロマチクリニック 古賀俊介先生

Profile●古賀俊介さん/1989年福岡県出身、筑波大学医学群医学類卒業。産婦人科医であり、エンジニアとしてシステム開発にも携わる。2019年に医療機関向けソフトウェア開発を手掛ける株式会社Inazmaを設立。2021年にゼロマチクリニック天神(天神2丁目ソラリアステージビルM2F)を開業。
Twitter: https://twitter.com/_kogax_

産婦人科は、医師が“おめでとう”と言える診療科

―まず古賀先生が医師を志したきっかけを教えてください。

古賀俊介先生(以下、古賀):

医学部に入ろうと思ったのは中学時代です。進学校だったので、志望校を決めるタイミングで理系だと医学部、文系だと法学部というふうに選ぶ人が多い環境でした。明確なきっかけがあったのではなく、なんとなく決めた進路でした。

ただ、いま思うと「健康」については思うことがあったのかもしれません。僕には、91歳で亡くなった祖父がいるのですが、心臓手術を2回受けながら、生涯好きなことをやり続けた“趣味の人”でした。投げ網漁をしたり、盆栽の世話をしたり、バイクに乗ったり、とにかく精力的に活動していて。そんな祖父を見て育ったので「人は健康ならなんでもできる」「健康はとても大事」と感じていました。

―そうだったのですね。それでは、産婦人科を目指した理由はなんでしょう。

古賀:

医学部の4〜6年生になると、さまざまな診療科の臨床を学ぶ実習があります。実習先が大学病院だったこともあり、命の危険がある患者さんも少なくありませんでした。ただ産婦人科は、他の診療科と全く違い明るい雰囲気に溢れていたのです。若い人が多く活気があり、患者さんに「おめでとう」といえる診療科があるなんて…と衝撃でした。

また第一子の出産に立ち会えたことも大きな出来事でした。帝王切開で手術自体はあっという間でしたし、実習で何度も出産を見てきたにも関わらずとても感動的で…。命の誕生に立ち会える、未来をサポートできる産婦人科に大きな魅力を感じました。

―ところで産婦人科は、どのような領域を扱っているのでしょうか?また、先生が考える産婦人科医としてのやりがいや面白さとはなんでしょうか?

古賀:産婦人科が取り扱う領域は主に「産科」「生殖」「婦人科」の3つです。「産科」とはその名の通りお産を取り扱い、「生殖」は不妊・内分泌などの分野、「婦人科」は女性特有の症状すべてを扱います。月経の悩みから、子宮の病気、更年期障害、がんなどです。

僕にとっての産婦人科のように、医師は必ず診療科を決めてその道へと進みます。診療科は大きく分けて内科系と外科系があります。産婦人科はひとつの診療科でありながら、内科・外科どちらのアプローチも必要になることもあるのです。取り扱う領域や患者さんの年齢層が幅広いからこそ、医師として自分の得意分野を見つけやすいと感じています。

行政サービスの活用も一手。年に一度は受診して

ー筆者自身、妊娠・出産を経験するまで産婦人科にかかった経験がほとんどありませんでした。同じように受診したことはない女性や受診に抵抗感がある女性が多くいます。先生が考える、産婦人科を受診するタイミングを教えてください。

古賀:産婦人科はどのくらいの年齢から診てもらえるのか?ということであれば、おおよその目安として16歳から。15歳までは小児科で診てもらうのが一般的です。ただし子宮や卵巣のトラブル、先天的な異常が認められている場合は、15歳以下でも迷わず産婦人科へ。福岡市では、20歳になると子宮頸がん検診を無料で受けることができます。そのついでに産婦人科で診察を受けて、自分の体について気になることを聞いてみる機会として生かしていただきたいです。

また病気の予防の観点からも、年に一度は産婦人科でエコー検査をして欲しいと思います。とはいえ、産婦人科での診療に苦手意識のある方は少なくありません。実際に「女医さんであっても診察はしてほしくない」という患者さんも多いですから。

産婦人科は、患者さんのプライバシーはもちろん、診療についての恥じらいや気持ちのケアが特に必要な診療科です。だからこそ診察に対して偏見や警戒が生まれないよう、できるだけ早いタイミングでかかりつけの産婦人科を見つけておくことをおすすめします。僕もクリニックで診察をするとき、産婦人科がはじめてという方には診察内容について理由を含めて丁寧に説明するようにしています。

―先生がおっしゃる通り、産婦人科の診察って最初は驚くことが多いです。苦手意識が出てしまうのも仕方のない面もありそうです。

古賀:

診察のひとつずつにやるべき理由があります。不安な気持ちがある方は「なぜこの診察を行なっているのか?」「何をみているのか、どんなことがわかるのか」と医師に質問をしてみてください。産婦人科にかかったことのない方は、できるだけ早く女性特有の疾患を早期発見することを目的とした婦人科検診を受けていただきたいです。

産婦人科の診察を受けて何も問題がなければそれで良いですし、何かトラブルが見つかれば解決する手段を示すことができます。産婦人科は妊娠出産だけではなく、女性の体にまつわるさまざまな問題を発見する場です。症状が産婦人科の専門外であっても、詳しい診療科を案内できます。

今を生きる人に寄り添う病院づくりが “ゼロマチ”

―産婦人科にいったことがない方はまず診察し、体のコンディションを見つめることから始めてもらいたいですね。続いて先生が運営している「ゼロマチクリニック天神」について教えていただけますか。

古賀:

 「ゼロマチ」は、経営している株式会社Inazmaのプロジェクトのひとつで、患者さんの医療体験をより快適にしたいと立ち上げました。病院は体調が悪くなったら行く場所ですよね。今の若い人たちは昔と比べると貧しくて、すごく仕事を頑張らなくてはいけない、つまり忙しい…そんな人たちが健康の問題を抱えた時に、できるだけ時間をかけず病院を受診できたらいいのではと。

一般的な病院では、電話予約・来院・受付・問診票記入・診察を待つ一連の流れにかなりの時間を有します。しかし、「ゼロマチ」を使って予約・受付をなくし、診察の待ち時間を短縮。さらにキャッシュレス決済によって、会計にもほとんど時間がかかりません。「ゼロマチクリニック天神」は、この「ゼロマチ」というアプリ・ソフトウェアを実践する場所、いわば旗艦店のような存在です。

▲ソラリアステージのM2F。全10坪というコンパクトな設計

―待ち時間がゼロで「ゼロマチ」、ネーミングもぴったりですね。診察内容を教えてください。

古賀:

診察内容は、内科、女性内科です。女性内科はいわゆる婦人科です。婦人科と掲げてしまうと男性の患者さんが受診しづらいのではと思い、このように掲げました。

「ゼロマチクリニック天神」の患者さんの平均年齢は28歳。9割以上が女性です。「予定があるから月経移動したい」などの相談や、「手早く診察をしてもらって薬をもらいたい」などのニーズに応えています。西鉄福岡(天神)駅直結で商業ビルの中の好立地も含めて、気軽に便利に利用いただいていると思います。

▲ゼロマチクリニック天神ホームページより。症状ごとに原因や治療などが記載されて、見やすく親切な設計

―ゼロマチクリニック天神の患者さんは若い人が多いんですね!

古賀:

一般的な内科や婦人科と比べると若い患者さんが多いです。また50代くらいの方にも、ゼロマチのシステムを使ってスムーズにご利用いただいています。病院の待ち時間を減らしたい、はやく処置や薬の処方をもらい快方に向かいたい方は多いですね。

ゼロマチクリニック天神には、産婦人科の設備によくある内診台はありません。内診台に抵抗感を持つ方もいらっしゃいますし、ベッドであっても診ることはできます。こんなふうに産婦人科や医療のスタンダードを取捨選択して、患者さんにより良い医療体験を提供していきたいですね。

さいごに

古賀先生のお話を聞いて、“産婦人科は女性の強い味方だ”と感じました。自分では気づけない体のこと、意識はしているけれど相談しづらいこと。自分だけではなく全ての女性に、定期的な産婦人科の受診の重要性を伝えたいです。

インタビューの中で特に印象的だったのが、「大事なのは知ること」という古賀先生の言葉です。まずは診察を受けて、自分の身体の状態を知ることがその一歩。知らずに選べない状況より、知って選べる状況の方が、自分にとってずっと楽なはず。日々を乗り越えるのに精一杯なときこそ、内面の声だけではなく、自分の体を見つめてみましょう。

machi

2歳差の兄弟と子煩悩なパパと楽しく生活中。食べると泊まるが大好きで、甘いものも嗜みます。

ライター紹介

からふるMoms

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KaRaFuRuのママライターチームです。

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