365日からふるに子育て!第48回~母乳の不思議、母乳にはどんな成分が含まれているの?~
「次世代へ健やかな未来をつなぐ」
ウェルサポの助産師、古賀です。
先日生後8ヶ月の息子が手足口病にかかりました。
ものすごい不機嫌で抱っこをしていないと泣きっぱなし、口の中の水疱が原因で離乳食も授乳もなかなか進まない…精神的にも肉体的にもハードな時間が続きましたが、そんな私たち親子にとって頼みの綱となったのが「母乳」でした。
子どもの体調がすぐれない時、母乳に助けられたという経験をしたママは多いのではないでしょうか。
乳幼児期のお子さんとママにとって、とても身近な「母乳」。
今回はその「母乳の成分にまつわる不思議」についてお話ししたいと思います。
1.母乳はどうやって作られるの?
母乳は乳房にある乳腺で、主にお母さんの血液を材料にして作られます。
赤ちゃんがおっぱいを吸うと、母乳を作るためのホルモンが分泌され、母乳の材料である血液が乳房内に流れ込みます。そこから母乳に必要な栄養素が取り込まれ、母乳は作られるのです。
2.母乳の成分とは?
母乳には三大栄養素と呼ばれる「炭水化物」「タンパク質」「脂質」を始め、ビタミン・ミネラル、酵素、オリゴ糖、成長因子、ホルモン、抗体など、赤ちゃんが成長するために必要な成分がたくさん含まれています。
母乳の成分は赤ちゃんの成長に合わせて、「初乳→移行乳→成乳」と変化していきます。
〇初乳
初乳の出始める時期にはかなりの個人差があります。目安として、出産後に初めて分泌が始まってから、産後3~5日頃までが初乳の時期と言われます。
つまり「初乳=初回の母乳」ではなく、産後数日間の母乳はすべて「初乳」です。
タンパク質の含有量が高く、その多くが免疫成分です。また、赤ちゃんの脳の発達に必要なビタミン、ミネラルも豊富です。
最初は1日に出る量は約40~50mlと少量ですが、生まれたばかりの赤ちゃんの胃はビー玉サイズのため、赤ちゃんにとっては十分な量と言えます。
〇移行乳
初乳から数日が過ぎ、産後2週目頃までの期間で、成乳に向けての準備期間です。
初乳に比べると免疫成分がやや減り、脂肪や糖質が増えます。
生後5日目頃の赤ちゃんは、1日500ml程度の母乳やミルクを飲めるほどになります。
〇成乳
産後2週目~4週目には成乳に移行します。
赤ちゃんの成長・発達をサポートするため、タンパク質、脂質、ビタミン・ミネラル、ホルモン、成長因子など、より多くの成分が含まれます。
糖質や脂肪が増えることでエネルギー量が増え、赤ちゃんの発育をさらに促します。さらに、母乳に含まれる脂肪分の含有量は、飲み始めと飲み終わりで変化します。
授乳が始まって10分ほど経つと「後乳」と呼ばれる、より脂肪分の多い高カロリーな母乳に変化します。後乳は高カロリーなため体重が増えやすくなりますし、さらに脳の発達や神経系の成熟を促す役割があります。そのため、脂肪分が豊富な後乳までしっかりと飲ませてあげることが大切です。
産後4週目頃を目安に、母乳の成分はほぼ一定に保たれます。しかし、その後もママや赤ちゃんの状況に合わせて母乳の成分は変化すると言われています。
例えば、体重の小さい赤ちゃんには、体重が増えやすいような成分の母乳が分泌されます。
ママや赤ちゃんが体調を崩すと、ママの体内でその病気と闘うための抗体が作られ、その抗体が母乳を通して赤ちゃんに送られます。
それぞれの母子にとって、最適な母乳がその都度オーダーメイドされるなんて、本当に神秘的ですね。
3.最後に
今現在授乳をされているママ、卒乳をされたママ…
皆さん、授乳には様々なエピソードや思い出があると思います。
日々当たり前のようにしている授乳ですが、ママの身体の中ではこんなに壮大なことが繰り広げられているのです。大切な我が子のために、母乳というこんなにも素敵なプレゼントを贈り続けていた…本当に素晴らしいことですね。毎日家族のために走り続けているママ達。
今回の話を通して、日々頑張り続けている自分の身体や心を労わる、ちょっと自分自身について考える、そんなきっかけになると嬉しいです。
<ウェルサポについて>
臨床経験豊富なフレンドナース(かかりつけナース)が、利用者自身の身心の相談はもちろん、子育てや介護、ご家族の健康に寄り添ったオンラインのチャット相談を行っています。他にも、オフラインで行う定期訪問サポートやアテンドサポートなど行っています。社会福祉士、健康運動指導士、助産師、管理栄養士などの専門家や他サービスとも連携して、利用者とそのご家族の「自分らしい健やかな暮らし」をサポートしています。
一般財団法人ウェルネスサポートLab(ウェルサポ)情報
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〇ライター紹介
古賀 晃子(こが てるこ)
助産師歴18年。
総合病院・クリニックの産科病棟で13年勤務。500名以上の赤ちゃんの誕生に立ち会う。結婚を機に退職し、現在はフリーランスとして活動中。
長女出産時の約30時間半で出産(長すぎて、入院から出産までにクリニックの助産師さん全員にお世話になりました)という壮絶なマタニティ体験と日々の子育ての中で、助産師という仕事がさらに大好きになりました。
プライベートでは、5歳、2歳、0歳の3児のママ。